和田隆夫 博士(工学)、代表取締役 エバーシステム株式会社
和田氏は、ブロックチェーンで価値が担保できるようになったこと、fungible tokenとnon fungible tokenの違いやNFTサービスの始まりついて話しました。またエバーシステムは、2018年にCryptoNinjaというイーサリム版のゲームを日本では2番目のブロックチェーンゲームとしてリリースしました。2019年には第3世代ブロックチェーンIOST版をリリースしました。ゲーム内の城と忍者がNFTになっています。国内最大のゲーム開発者カンファレンスCEDECで2018年、2019年と2年連続で講演をしました。
Avex TechnologiesのNFTサービスの開発にも関わり、デジタルのプリゲーターとユーザーとNFTのファンにとって、みなが幸せになれるサービスを開発しています。盗んできたものをNFTとして売ることを阻止できるサービスを目指しています。古物商、NFTのデジタル中古の取引を開始するために、古物商の免許が必要が議論になっています。
岡部典孝、代表取締役 日本暗号資産市場株式会社
岡部氏は、ブロックチェーンで中古品を売買するアイディアは3年前くらい前からあり、ゲームでコインを稼ぐ、そのコインをものにかえたり、そのものを売ってコインを得るという点で中古品売買が絡んできたこと、ブロックチェーンやNFTが絡むことで、最近また注目されていると指摘しました。さまざまなコインで様々なものを買えるようにする必要があると感じて、2019年7月に個人で古物商のライセンスを取得しました。警視庁と警察庁に暗号資産の事業を確認をとり起業に至ました。
日本円ステーブルコインJPYCを発行し、暗号通貨をJPYCに変えて日本円の価値に持ってき、物の売買から税金の計算を行ことによって適切な納税に活用ができます。さらに、直近の動きとして興味深いのは、NFT自体が物と結びつくこと。例えば、お酒やスニーカーなど一点物にNFTを結びつけ、そのNFTを売買し、最終的にそのNFTをもっていた人がそれを使う権利を得る、そういった取組がこれからますます伸びていくと言えます。
新しい分野で法律面が非常に重要になってきます。約70年前の古物営業法がクローズアップされています。古物営業法とは、戦後の闇市では犯罪の一種のマネーロンダリングの場所となりえたために、許可をとった古物商だけが取引できるようにしました。取引が集まる市場には古物市場主という資格の2段階のライセンスが必要となりました(証券市場でいうと、証券会社にあたる一般の方々が取引できる場所を古物商で、東京証券取引所のような取引所に当たるものが古物市場主である)。古物市場には古物商しか参加できないため、一般の方々は古物商を通して、物を売ることができます。高齢化もあり物が出てくる時代の盛り上がりで、そこに新しい分野の進出を狙っている人も多いです。日本暗号資産市場は、古物市場とテクノロジーを繋ぐ立ち位置にいます。古物商の高齢化は進んでいます。テクノロジーが得意な方は少ないが、ライセンスとしては広範囲で使えるために中古品であれば全て古物商に当たり、新品以外のありとあらゆるものが対象となる非常に大きな市場です。
NFTの中でも古物商が扱えるNFTと、扱えないNFTに分かれます。NFTが物との引換券である場合は、事実上換金ができるため、古物商が扱う方が望ましいです。何種類ものNFTが存在しており、これがNFTだからOKとか、これがNFTじゃないからダメとかではなく、実質的に何がどのように取引されているのかによって規制を当てはめていくことが重要となります。
高井雄紀 弁護士、法律事務所 ZeLo・外国法共同事業
3月30日のイベント
NFTが資金決済法上の暗号資産に該当するか否かを検討する必要がございます。なぜなら、暗号資産の交換等を業として行う場合は、暗号資産交換業の登録をしなければならないからです。暗号資産が規制を受ける趣旨は、決済手段等の経済的機能を有するところにございます。そのため、NFTが決済手段等の経済的機能を有しないのであれば、当該NFTは、「代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値」(いわゆる「1号暗号資産」)に当たらず、かつ1号暗号資産と「相互に交換を行うことができる財産的価値」(いわゆる「2号暗号資産」)にも当たらず、暗号資産に該当しないと考えられます。
4月8日のイベント
NFTについては、現状法律上で明確な定義はなされておりません。そのため、NFTであるから法律上問題ないという判断をしてはならず、NFTに関するビジネススキームが規制の対象となっている暗号資産の交換等に該当するか、古物営業に該当するかを個別具体的にアプローチしていくことになります。NFTが古物と結びついて販売されている場合は、実態として、古物を取り扱っていると評価できるため、古物営業法の許可を得ておいた方が望ましいと考えます。暗号資産に該当しないNFTをオンライン上で販売する場合は、現状本人確認等の義務は生じないため、アンチマネーロンダリングの観点から今後、購入者の本人確認等の規制がなされる可能性も考えられます。